読んだ。ブログ主は記事の方と業界は異なるが、同じように国内の大手メーカー研究所で働いている。
記事の件、入社3年目の若手社員が、大企業の研究所に配属になったにもかかわらず望むような研究開発が行えず失望して退職した、という内容。今は規模は小さいが技術開発を行える会社に転職し、モノづくりにいそしんでいる、とのこと。頑張ってほしい。
別の記事で自動車評論家の国沢氏が、記事の方の働く部門はたまたまホンダが独自開発をしていなかった分野で、他の部門であればちゃんと開発しているよ、と言っていた。これも真実なのだろう。しかし、記事の方にとっては配属された部門が全てであっただろうし、ホンダでは部門を超えた異動が可能であったか、は定かではない。
この記事の方は、行動力があり、自分の生き方にプライドを持った方なのだろう、と想像する。大企業を退職することは容易ではない。例え仕事内容に満足できていなかったとしても、もっと言えば上司から激ヤバな詰めをくらってメンタル一歩手前であったとしても、辞めるにはいくつもの課題がある。
まずは両親への説明。大企業に入る人間、しかも研究職で入る人間は有名大学の大学院卒以上の学歴が必須である。学費も親に負担してもらっていた人が多いだろう(奨学金やバイトで自分で払っていた人はすごい)。卒業までに親に相当の教育投資を強いているのである。そんな中でも、大企業に就職してくれれば、親としてはガッツポーズ、高い学費払った甲斐があったわー、自分の子育てマジ成功だわーと大喜びしていることだろう。まれに親族全て有名大卒、大企業勤務とかで、大企業で働くことが当然視されているイージーモードかハードモードか分からん人もいるが、例外なので無視しておく。とにかく、親孝行な人間ほど、大企業を辞めるという選択肢は取りにくいのである。
あとは既婚者の場合。嫁子のことを考えたら大企業で腐敗する道を選ぶ人が多い。ましてや会社付近に家買ってたりしたら、「家売って引っ越すことになるかもやが、すまんな」では本当にすまないだろう*1。
さらには、この記事の方は運よく希望の仕事ができる会社に転職できたようだが、ブログ主は実際、どこの会社もあまり状況は変わらないのでは、とみている*2。記事についていたコメントで恐ろしかったのが、新卒で入社した会社で望む研究ができず転職したが、転職先でも思うようにならず、また転職して元いた業界に戻った、という話。日本のメーカー、もはやどこもオワコンなんじゃね、というのが率直なところ。ブログ主もとりあえず研究開発と呼ばれる仕事をしているが、炊飯器に会話機能をつけるレベルの、やってもやらなくても社会に蝶の羽ばたき程度の影響も与えないようなテーマばかりである。しんどい。
とにかく記事の方に伝えたいのは、ホンダ辞めるのマジすごい。でも、これで人生が不幸な方に回り始めたら自分も辛いし、周りからもプギャられるから、絶対絶対に、自分が満足いくような人生を自らつかみ続けて欲しい。頑張れ!